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本格忍者小説! 〜忍びの者1<序の巻>〜

出勤中の電車で村山知義の忍びの者を読み終わったでござる。
まだ第1部だけだけど!


【村山知義「忍びの者 1<序の巻>」岩波書店】



この小説は司馬遼太郎、山田風太郎や白土三平と共に、昭和に起こった忍者ブームの火付け役の一つを担った作品であり、忍者に焦点を当てた映画やドラマにもなっている。
忍者映画はおそらく当時ほぼなかったであろうし、忍者の連続ドラマなんて今じゃ到底やらなそうである。
朝の連続テレビ小説で忍者やったらどうなるかなw

ストーリーを大雑把に紹介すると・・・

時は戦国時代。
信長包囲網(捨て旗の術のエントリを参照)が敷かれた辺りから物語はスタートする。

伊賀では百地家と藤林家の二大忍びが台頭していた。

百地三太夫は、伊賀者をあまり評価しない信長が気に食わず、信長に勝ってほしい朝倉義景にくノ一を送ったり、秀吉や武田信玄の元へも忍者を使わせたりして、情報を収集していた。

百地三太夫の下忍、石川村の五右衛門は、あるとき百地三太夫の妻と内通してしまい、面倒になってその妻を殺して伊賀から逃げてしまう。
京の町で別の女を作って暮らしていた。

しかし三太夫に見つかってしまい、殺さぬ変わりに信長を討つことを命じられ、三太夫からの恐怖に縛られて生きていくことになる。
一方藤林長門も、自分の下忍に信長の暗殺を指令しており、藤林、百地、どちらが忍びとして優秀かを競い合う結果となった。

五右衛門は三太夫に対し恐怖心を抱きながらも、三太夫への「とある疑念」を抱いていく。
結局信長を暗殺することができなかった伊賀衆は、天正伊賀の乱で信長に壊滅させられる。
そのとき、五右衛門は伊賀に関する真実を知ることとなった・・・


といった感じでござる!
まぁ結末はあまりにも有名なオチなんだけどね・・・

本当はもっと登場人物が多くて(若干混乱するくらいw)、三方原の戦い、長篠の戦い、伊勢長島一揆などのいろんなストーリーがあるのだが、メインどころだけとりあえず紹介いたした。

忍者小説としては現代人にとってはあまり目新しさはなく面白みはないかもしれないが、とにかくこの小説、伊賀の忍びの歴史、生態についてすっごくよく調べてあるところがミソ。

1962年に出版だから拙者が生まれるよりも20年以上も前に世に出ているものだが、当時のブームとなった忍者小説って奇想天外なものばかりだと思っていた。

しかし、この小説は違うのでござる。
めちゃめちゃリアリティ溢れるというか合理的というか、なんというか
ストーリー仕立ての忍者解説書
と言ってもいいんじゃないか、ってくらい勉強になった。

作者も当時伊賀市役所に努めていた有名な忍術研究家・奥瀬平七郎氏(その後伊賀上野市長になって忍者屋敷の創建に従事したとか!)に話を聞いたり、資料をもらって、情報収集をしていたようだ。
忍術書の内容や資料の引用は当然出てくるし、前に司馬遼太郎の「風の武士」を読んだときにちょっと書いたけど、

ーどうやって絶対絶命のピンチの場面で、一瞬にして煙玉に火をつけられるんだろうー

という拙者の素朴な疑問にもしっかりと解説がなされていた。

ふむ、、、なるほど。納得!

という拙者の中での「ガッテンランプ」が点いたものでござる。

本当はちゃんと紹介したいのだが、どのページに書いてあるか忘れてしまったのでw
詳しく知りたい方は本編でどうぞっ!!

戦闘シーンも比較的少なめで、どちらかというとスパイ的な描写が多い小説でござった。
なかなか戦闘的な動きがないと面白くするのは難しいと思うが、十分楽しめたと思ふ。

500ページと長いけど、、、ちょっと休憩してあと4冊頑張って読もう!


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